【神戸市長田区】コロナ禍の地域をつなぐ、素敵な「たすけ”愛”」エピソード。
雪が舞う寒空のなか、急な階段を1人の女性が登ります。
手に持っているのは、神戸医療生協・長田北部支部の組合員さんがつくった手作りのお弁当「たんぽぽごはん」。
コロナ禍で外出が難しくなった地域の人々へ温かいお弁当を届ける、新しい活動です。
長田北部支部は2020年、支部結成20年を迎えたそうです。
結成7年目に空き家を改装した「たんぽぽの家」を集いの場とし開設。
結成当初は約380人だった組合員さんも、1000人を超えたそうです。
※2020年12月末現在の情報です。
いきいきと暮らせるまちづくりを
長田北部の丸山地区。盆地になっていて険しい坂道やアップダウンの続くエリアです。
こちらの「たんぽぽの家」では、地域の困りごとを解決するボランティアの助け合い活動や、単身者や身体の不自由な方、高齢者の方々に「温かいごはんを食べて頂きたい」という思いから2006年5月から月2回の食事会を開催していたそうです。
地域の方々とつながっていた矢先、新型コロナウイルス感染症の影響で食事会も中止へ。
丸山地区は周囲に食堂や喫茶店も少なく、コープさんとコンビニが一軒ずつあるだけです。
「わたしたちに、できること」
そうして始まったのが。お弁当の配食だったそうです。
早朝からたんぽぽの家に集まった組合員さんたちが手際よく料理を作り、この日は70食のお弁当を作りました。
お弁当の包み紙は毎回手書き。
入っているすべての献立が書かれています。筆字がまた、味があっていい感じです。
中にはコレクションとして集めている方もいるんだとか。
手洗い、うがい、消毒などの衛生対策はしっかりと。健康状態や検温などの新型コロナ対策もしっかりしたうえでお弁当を作っています。
手作りのお弁当を各コースに分けて、徒歩や車で配達します。
数十段の階段を登ったり下ったりすることも…
配達先で「寒いですねぇ。体調はどうですか?何かあればいつでも言ってくださいね」と声をかけていました。
「いつもおおきになぁ」と笑顔でお弁当を受け取っていました。
当初、食事会の参加者は30~40人程度だったそうですが、お弁当の配達は60~70人に増えたそうです。
外出することは難しいが、届けてほしい人はたくさんいることに気が付いたそうです。
食事会のような憩いの場は難しいけれど、お弁当のような何かのきっかけをつくり、1人1人に声かけをする大切さ。ただ宅配するだけでなく安否確認にもなっているそうです。
まだまだ必要としている人がこの地区にはたくさんいます
ボランティアの活動は、話し相手や見守り、買い物や通院の支援、草刈や家の掃除などなど、年々増えているそうです。
最近では孤独死された方のお部屋の片づけをすることもあったそう…。
「亡くなる前に、何かできることがあったのではないかと…」
どこに、どんな人が住んでいて、どんな状態で…。
「もっともっと事態を把握しておかなければならない」と話していました。
高齢化や独居が進み、さらにはコロナ禍で外出が難しい現状。
地域住民の健康度合いに不安が生れている今、これまでの活動は続けながら、新しい工夫を取り入れることが必要となっているそうです。
助け合いをしています。お困りごとはありませんか?
「たんぽぽの家」の看板にはそう書かれていました。
まさに「助け合いの精神」ですよね。
困っているときはお互いさま、人は一人で生きられません。
長田北部、丸山の地域には「たんぽぽの家」のような場所があり、皆が助け合い支えあっている人々に出会うことができました。
何か困りごとがあれば「たんぽぽの家に行ってみよう」。
そう思い出してもらえるような、たんぽぽのような暖かい場所になってほしいですね。
たんぽぽの家の場所はこちら